事 業:農作物栽培卸売
資本金:50万円
従業員:男性7名・女性2名(パートタイマー)
住 所:〒996-0053 山形県最上郡金山町大字山崎字三枝11番地
電 話:0233-52-7100
計画的な栽培で魅力ある農業を
~リスクを可視化することが挑戦につながる~
代表取締役 長倉直人さん
◆どういう事業でしょうか
農作物の栽培と卸売を行っています。種類は、春のアスパラガス、初夏から秋のズッキーニ、夏から初冬のネギ、秋から冬にかけてキャベツで、冬からは雪の下に入れて保存しておいたキャベツ、紫キャベツ、人参の3種を翌年の春まで、かまくら野菜のブランドで出荷してしています。
◆雪の下はどんな状態ですか
野菜の成長がストップしている、いわば仮死状態のようなものですね。
先日も山形県農業技術普及課から成分を細かく測定していただきましたが、味や品質は全くと言っていいほど低下しません。
雪はやっかいものですが、野菜の低温保存については、この雪深さは最適な環境です。
◆最上地域で仕事されてご感想は
私は金山町の出身で、実家は農業を営んでおりますが、高校を卒業後、仙台で会計事務所に勤めました。
実家が火災に遭ったことで戻ったのですが、前職の経験を生かして、この会社の設立は自分で行いましたね。
◆拝見して今までの農業とは違うという印象を受けました
当社では種を蒔く前に製品出荷の時期、数量、価格を決めてから、栽培を始めます。
この段階からどこにどれだけ売るかや栽培のコストも算出しますので、計画的に生産でき、安定した経営につながります。
もちろん露地栽培ですから、後々左右される部分もありますので、収穫量の変動に合わせて出荷ができるような体制も採っています。
◆計画的に運営しているんですね
現在は、半年先まで週ごとの労働時間や作業内容をあらかじめ計画しています。それを毎朝、従業員と共有しながら作業にあたります。
でも露地栽培は天候次第ですから、一旦決めたことは何が何でも変えないということではなく、天気に合わせて作業を変えるなど、柔軟に運用しています。そういった農作業全般を俯瞰するやり方は前の仕事の経験が生かされているのではないかと思います。
農業に限らず、どの仕事でも同じですが、不安というのは、先が見えないから感じると思うんですね。
そうであるならば、この作業はいつまで続くか、この仕事をやることによってどういう影響が出るかなど、仕事の内容をみんなの目に見えるものにして先を読んでいく、そうして仕事を見える化しておくことで、不安はかなり解消されますし、また様々なリスクにも冷静に対処できると思います。
◆挑戦にはリスクが伴います
はい。リスクから逃げ回っていては何もやれません。ましてや若者が新しいことに挑戦していくには闇雲に蛮勇を振るうのではなく、きちんと計画し、予想されるリスクにもできるだけ事前に対処しておくことで不安は少なくなりますから、そこから勇気を持って挑戦していくべきだと思います。
◆非常に合理的ですね
実際、経営や行動が見えることによるメリットは大きいと思います。
初めに描いた計画通りの成果が得られないのであれば、どこに問題があるのか、仕事の前に行動をあらかじめ見える化しておけば、その問題の所在や本質をとてもつかみやすくなります。
ただ、当社は設立して日が浅く、データの蓄積はこれからですので、毎年作業を繰り返しながら、気象や需要の変動など、見込みの精度を高めていきたいと思っています。
いつかデータを基にして周年露地栽培のマニュアルを作ることができたなら、それを利用して色々な方に栽培に加わっていただきたいですし、そうやって増やした収穫を日本国中の食卓に届けたい、これが当社の目標です。
◆若い人へのアドバイスを
やはり言い訳はしないことです。仕事ができない、結果が出ない、そんな時、それを何かのせいにする言い訳をして逃げていては、何も得ることはできませんし、何も生み出せはしません。
やると決めたからには一切言い訳をしないこと、これが社会人として仕事に正面から向き合う姿勢なのだと思います。