事 業:精密機械部品加工
資本金:1000万円
従業員:男性9名・女性4名(山形工場)
住 所:〒999-6313 山形県最上郡戸沢村名高1793
電 話:0233-72-2296
若者にモノづくりの喜びを教えたい
~製造業で地元雇用を維持し地域の経済に寄与~
工場長 荒川利也さん
◆どんなものを作っていますか
光学機器や精密機器に使われる部品です。
当社は、素材としてアルミ合金を得意としておりまして、穴開けやフライス加工を行うマシニングセンターやNC旋盤などを使って、精密部品に加工しています。
当工場が始まった当時は旋盤加工が主でしたが、取引先の要望や受注部品の多様化に従って、徐々に様々な加工機械を導入し現在のようになりました。
本社は埼玉県にあり、当工場はその製造拠点という位置づけです。
社長は戸沢村の出身で、製造拠点を設けようした時に、生まれ故郷であるこの村を選択したのですね。
昭和48年に操業を開始しました。
私は高校卒業後に、仕事を手伝ったことがきっかけで入社しました。
◆地域の中で運営しているご感想は
私自身も戸沢村の出身ですが、近い分、通勤が楽というメリットの他に、地元で仕事をする際には独特の難しさも確かにあります。
なるべく地元の若者を採用したいという当社の希望もあるのですが、地域内の方は互いに良く知っていたり身内感覚もありますので、雇用や待遇について、経営としてドライに割り切れない部分もあります。
金属加工作業では潤滑油が不可欠なのですが、中にはその匂いにどうしても慣れないとか、体質的にあわないといった理由で続けられず辞めた方もいらっしゃいます。
仕方のない理由での退社だとしても、地域内で見知った方である分、その後も気を遣ったりしますね。
◆製造業を取り巻く情勢は
今はモノがあふれている時代ですし、例えば人と会って話をすることもITで簡単にできる時代です。
何をするにも楽さやスピードを求めてしまいがちですが、この風潮が全て良いことなのかと考えると、私は少し懐疑的です。
一番大切な心や感情といったものを、どこかで置き去りにしてはいないのかなと思います。
製造業も同じです。出来上がった製品に対して取引先やお客様に感動していただけるかは、それを造っている我々自身が、自分で造ったモノに感動できるかにかかっています。
ですから、そういった心と感情を抜きにしたモノづくりなどありえないのだと思います。
あくまで人間がモノを造り、それを使うのも人間なのですから、そういったアナログの部分も大切にしなければいけないのではないかと思いますね。
◆製造業は自動化が進んでいます
製造機械が進歩していなかった昔は、作る職人の腕が問われました。
ところが今は機械がとても良くなりかなりの部分を自動化しています。
機械が良くなるにつれて人間的な部分が介在しなくなり、将来、ボタンひとつで製品ができるようになれば、そこに心や感情を求めること自体がなくなるかもしれません。
でも、製造機械のボタンを押すことに、どれだけ誇りや感動を持てるのか、そもそもそれを人間の仕事と呼べるのか、これは自動化が進んだ将来、製造業が直面する課題になるのかもしれないですね。
◆現代の若者はモノづくりの喜びや充実感を感じているでしょうか
今の若い方は、生まれた頃から不景気の時代に育ったためか、どうしても経済的な面を重視しがちです。
純粋にモノを作り上げる喜びを味わう機会が少なくなったような気がしますし、これはとてもかわいそうなことだと思いますね。
私は、若い方にモノづくりを実感してもらうために、昔のやり方を原点として伝えていくことが意味のあることではないかと考えています。
例えば、製品の寸法を測る時に、昔ながらの目盛りのあるノギスの使い方から教えます。目盛りで物の厚さや寸法の誤差を量として見ることで、初めて実感が伴うんですね。
このようなアナログの視点を製造業の原点として、そこから自動化を進めていくという姿勢や方向性が大事ではないかと思います。
◆製品を使う消費者と違い、製造業は様々に考えることがあるのですね
いつの時代もお客様はさらに良いものを求めますが、良いものを作るのはそう簡単ではないですよ(笑)。