事 業:食品包装容器製造
資本金:3億円
従業員:男性88名・女性46名
住 所:〒996-0053 山形県新庄市大字福田字福田山711番地139
電 話:0233-29-3611
ウェブ:www.yokota-co.co.jp
全体を考える広い視野を持つこと
~食品容器事業を核に環境や福祉の視点も~
代表取締役社長 横田健二さん
◆どのような会社でしょうか
当社は包装容器パックやリサイクルトレーを製造している会社です。
阪神淡路大震災の時ですが、水道が長期間止まり、被災された方は大変な思いをしました。
避難所で温かいものを食べようとした時には使った食器を洗うことができないため、窮余の策として容器にラップを敷いて間に合わせていたんです。
これを目にしたことが、発泡トレーにフィルムを密着させるというリサイクルトレーの発想に繋がりました。
これは、非常時はもちろん、普段であっても汚れた表面フィルムを剥がすだけできれいにリサイクルに回せますから、手間もかからず資源の節約にもなります。
このアイデアを製品化したことで後の中越地震や東日本大震災の時にも被災された方々に容器を提供し、大変に喜ばれました。
災害の経験を生かし、世の中のために当社なりの貢献ができたことのひとつと大変に喜んでおります。
◆最上地域への印象は
奥ゆかしさがあると思います。
でも新しい事業については反応がとても少ないですね。
それは、最上地域には大学が無いといった教育面の事情から、新しいことの情報がなかなか入ってこないという事も一つの原因ではないかと思っています。
また、農家が主体の土地柄は一つのことに粘り強く取り組む性質が強いためか、行政との連携でも一方的に受け身になりがちといった傾向もあるのではないかと思います。
◆そういった土地柄で新しいことに取り組まれています
それは、この地域に都会から夢を運び込みたいという考えからです。
新幹線が新庄まで延伸した当時から思っているのですが、実際は若者が出て行くだけなのが残念ですね。
◆地域が魅力を保つにはどうすれば
私が観光地へ旅行した時には、必ず土産物屋を注意して見ます。
土産物屋が元気なのは、その観光地がうまくいっている証拠ですから。
賑わっている温泉地は、旅館の中の土産売り場が最小限で、むしろ土産店をお薦めしているんですね。
宿泊客は、宿から出て下駄を鳴らしながら方々を見て歩くのが湯治の愉しみですから、必ずしも旅館の中だけで済ましたくはないのです。
つまり、旅館だけが利益を独占せず土産店を紹介するという工夫が、温泉地自体の魅力を保ち、永続できるわけです。
それは地域の人たちや企業同士が互いに認め合い、褒め合うことです。
そうやって地域に魅力が増せば、必ず人は訪れますから。
◆最上地域の魅力は何でしょうか
長い歴史の中で大自然に抱かれて生きているということですね。
人間は自然の中でしか生きることはできないし、癒されもしないのです。
新庄最上を訪れる方々に、いかにして、この自然に抱かれているという感覚を体験し味わっていただくか、それをどのようにして都会に伝えるかに心を砕くべきです。
◆ご当地キャラが流行っています
キャラクターもいいと思いますが、あくまで新庄市の観光の一つの材料として考えるべきで、町おこしの中心に据えてはいけません。
町おこしは、面白おかしくダジャレにして実現できるものではないですよ。
◆福祉への関心も持たれていますね
世の中は全てどこかでつながっていて、自分の事業だけの近視眼的視野では決してうまくはいきません。
様々な縁があって初めて仕事もうまくいき、その仕事を通して世の中が良くなっていくのだと思います。
色々な境遇の方や障がいを持ったお子さんもいる中で、彼らに社会の一員としてどう輝いてもらうのか、当社なりにその手助けを考えた時、福祉の視点に関心を持ちました。
◆今後の方向性をお教えください
当社は、食品容器に環境保護の付加価値をつけ、またそのリサイクルの輪に福祉の視点も見出しました。
さらに、この先駆的な取り組みを全国から見に来て下さる方々に最上を紹介する絶好の機会と考え、ぜひ地域を周遊していただきたい。
その意味で、今後はリサイクルの輪に、観光の観点も付け加えることができないかと構想しています。