事 業:建物内装品製造
資本金: 1,000万円
従業員:男性36名・女性27名
住 所:〒996-6105山形県最上郡最上町大字富沢字大明神4467-11
電 話:0233-45-2258
ウェブ:www.hayasaka-tg.com
新たな産業として高め最上から全国へ
~内装ドアの量産事業で地域にインパクトを~
代表取締役 早坂広行さん
●どんな会社でしょうか。
当社は、建物の内装品メーカーで、主にドアを製造しています。
創業は、最上町で私の父が始めた建具屋です。父は根っからの職人で戦後、住宅が多く建てられた時代に職人としての技術を磨き、地元に建具屋を開きました。
私は、高校卒業後に修行のために他社で営業職を経験してから、1989年に地元に戻りました。
営業職や、地元に戻ってから経験した建具屋の二代目としての仕事では、社会の厳しさをたくさん味わいました。
●その後、生業を会社化されました
はい。徐々に住宅が洋風化し和室が減っていくなかで、ふすまや障子、欄間といったこれまでの建具作りでは生き残れないとの危機感がありました。
当時の取引範囲は最上郡、山形、仙台あたりでしたが、会社として地域にインパクトを与える事業規模にするには、取引を全国に広げ、生業ではなく「産業」にしなければいけないと考えていました。
そこで会社化し、業務に内装ドア製造を取り入れました。私のこの決断を父は応援してくれました。
これまで築き上げた自らのやり方と異なる決断に背中を押すのというのは、なかなかできないことだと思います。
そんな父は、仕事のパートナーとして心強かったですし、今でも尊敬できる存在です。そして製造という産業として歩み始めたからには、後には引けないと覚悟を決め、誰よりも努力しました。
●事業を拡大するにはどんな工夫を
当時、製造業では女性が働ける場が限られていました。
それは何故かと考えたところ、男女の違いは「腕力」と「拘束時間」のたった二つだけだと気付きました。
そうであれば、機械化によって力仕事をカバーし、効率化を図ることで就業時間にも対応できるはずと考え、生産設備を充実させたのです。
職人の世界では「女には無理だ」と決め付けてしまう風潮がありましたが、私は、やる気があってきちんと仕事をこなしてくれる人であれば、男女の別は関わらないと考えていました。
当社では、給与面で無条件に男女に違いを設けるということはありません。
事業を行う上で良い人材を確保するためには、従来の常識を考え直し、時代に合わなければ、それにとらわれるべきではないと考えています。
●最上地域の印象はいかがですか
最上地域に生まれ育ち、この地で仕事をしてみてスケールや視野が決して広くないと感じます。
人との繋がりで仕事を共有し合うのは良いことですが、そこから広がらなければ発展はありません。
狭い地域の中で、引っ張り合いをしていても仕方がありません。
地域を興すためには、まず高い目標を掲げ、広い視野を持つことです。
そして、その実現のために策を考え実行していくことにエネルギーを注いだ方が建設的だと思いますね。
そして仲間と前向きに話し合い、ともに作っていくことではじめて会社や地域がうまくいくのではないかと思います。
また、若い頃に味わった厳しさや悔しさをバネにし、身の周りのデメリットさえも自分の強みに転換してこそ、田舎だからと感じることなく、全国の市場を相手に戦えるものと考えています。
●若い人へのメッセージを
人にはなにより「情熱」が大切です。時には「あがくこと」も大事です。
何事にもチャレンジし、うまくいかなかった時でも「失敗して駄目でした」と終わらせないことです。
失敗かどうかは自分が決めること。そこからもう一つアクションを起こせば、その経験は失敗ではなく、次の成功の元となるものです。
私も経営者として様々な判断や決断をしながら、毎日のようにチャレンジしています。
挑戦するところに失敗などありません。ただなかなか成功しないだけですよ(笑)。