◎経鼻内視鏡のメリット
鼻から入れる「経鼻(けいび)内視鏡」での食道・胃・十二指腸の検査の説明です。
従来の口から入れる「経口内視鏡」とどうちがうのでしょう?
まず内視鏡の太さが違います。実物をお見せしましょう。
どうですか? ボールペンより細いでしょう!太さは5㎜です。
経鼻内視鏡がラクなのはただ細いからだけではありません。
口から入れる内視鏡はどうしてもゲーゲーと吐き気が起こります。
これは、口から入れると内視鏡がノドの奧の吐き気を起こさせる部位に当たってしまうからなんです。
ところがハナから入れると、そのゲーゲー吐き気を起こすポイントに当たらずに食道に入れることができます。
これが経鼻内視鏡が苦痛が少ないヒミツなんです!
そのほか経鼻内視鏡が口から入れる経口内視鏡より優れているポイントをあげてみました。
・高い安全性
・検査中に自由に会話ができる
・咽頭部の観察が詳細に行える
・ノドの麻酔が軽くて済む
・検査中の血圧変動が少ない
・検査中の心拍数の変動が少ない
・このため、高齢者に対するリスクが少ない…
当院では小学生のお子さんでも安全に検査を行っています。
このことからもいかに苦痛が少ないかがおわかりでしょう。
◎実際の検査
上は当院の内視鏡室のようすです。
広々とした検査室で心地よいBGMを聞きながら検査を行うことができます。
大型ハイビジョン液晶モニターにより、小さな病変も見逃しません。
検査画像は当院の画像ファイリングシステムに取り込まれ、診察中にいつでも参照し、過去の画像と比較することが容易です。
◎前処置について
内視鏡検査をスムーズに、ラクに受けるためには検査のための「前処置」が必要です。
当院では、検査の前に
・鼻腔を広げてカメラが通りやすくする薬
・痛みを緩和する麻酔薬
を鼻孔からスプレーまたは注入します。
(キシロカイン麻酔薬によるショック症状の既往がある方は、必ず検査前にお申し出下さい)
また、
・胃の運動を抑制して検査しやすくする薬
も肩に筋肉注射いたします。
(前立腺肥大、緑内障、狭心症・心筋梗塞などの既往のある方は、この注射ができませんので、あらかじめお申し出下さい)
また、胃内に残留する胃液や泡を消すお薬もあらかじめ飲んでいただきます。
これらの「前処置」はおおよそ10分~15分かかります。
◎NBI内視鏡とは
NBIとはNarrow Band Imaging:狭帯域光観察の略です
血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長(390~445nm/530~550nm)の光を照射することにより、粘膜表層の毛細血管、粘膜微細模様の強調表示を実現します。
これでは何だかわかりませんよね。簡単に説明してみます。
特殊な波長の光を粘膜に当てると、粘膜表面の血管が強調されます。
癌の表面の血管走行のようすは、正常粘膜と違うので、この違いをNBI内視鏡は強調してみることができます。
特に大腸や食道、咽頭部の早期ガンの発見に威力を発揮します。
次の写真は当院で発見され、早期に手術をすることで現在も再発なく元気にお過ごしの食道癌の患者さんのNBI内視鏡所見です。
ちなみに経鼻内視鏡を使用しております。
赤い画像が通常の内視鏡、青緑色っぽい画像がNBIによる観察画像です。
通常内視鏡では境界がはっきりしなかったガンと正常粘膜の境界が、NBI内視鏡を用いるとくっきりわかると思います。
これは一つの例ですが、このようにわずかな変化もNBI内視鏡はしっかり見つけてくれる、頼もしい次世代内視鏡なのです!
◎内視鏡の消毒も万全です
内視鏡検査は、終わった後の機材の消毒も重要なポイントです。
当院には日本消化器内視鏡学会認定「消化器内視鏡検査技師」の資格を持つ看護師が2名おります。
毎年技師研究会に出席し、また内視鏡取り扱いのレクチャーも受講し万全の体制で内視鏡の消毒・保守点検業務にあたります。
この洗濯機のような装置はオリンパス社製の「全自動内視鏡洗浄装置」です。
手洗いによる入念な前処置ののち、この機械にかけられ、細菌やウイルスのレベルまで汚れが取り除かれます。
当院で内視鏡を受ける方は、感染症の心配は無用です。
どうぞ安心して検査をお受け下さい!
◎予約について
当院では上部内視鏡(食道・胃・十二指腸)、下部内視鏡(大腸)ともに緊急時を除き、原則的に予約制となっております。
電話でも予約できますが、初診の方は来院してのご予約をおすすめします。
予約時に前もっていくつか必要事項(既往歴など)の問診を行います。
他院でお薬を服用中の方は「お薬手帳」をご持参下さい。
また脳・心疾患で血がかたまりにくくなる薬(ワーファリン、パナルジンなど)を服用中の方は必ずお申し出下さい。