自らが起業したいとの理由から、仙台市で女性の起業支援の仕事を始める。
しかし、結婚・出産後に、農家になる決断をした旦那様の実家がある最上町へ親子で移住することに。
2016年1月から、地域おこし協力隊兼婚活アドバイザーとして結婚したい男女の個別サポートを行っており、旧満沢小学校を改装した結婚相談所「Le lapin」を9月にオープンさせる。
「できない」を「できる」にする、超ポジティブ思考の敏腕アドバイザー。


"私は職場や家族にも恵まれていますし、何か問題があったとしても、その事でそんなに悩まないかもしれませんね。
私はいつでも「できる方へできる方へ」と物事を考えていきますので。"

"何事も、できない理由をまず先に考えずに「世の中は自分のために回っている」くらいに考えると何でもうまく回っていくような気がします(笑)。"


Q.どんなお仕事をしていますか?この仕事に就いたきっかけは?

最上町の地域おこし協力隊と婚活アドバイザーの仕事をしています。
私の夫が最上町出身で、2016年1月に仙台市から夫の実家がある最上町に移住してきました。
というのも、子どもが生まれたのをきっかけに、夫が農業をやるという決断をしたので、二人で色々と話し合って、まずは収入面で見通しが立つほうが良いだろうと、地域おこし協力隊の仕事に就くことを決めました。

私の婚活の師匠であり尊敬している日本婚活プロデュース協会の代表理事 阿部恵理子先生が、最上町で婚活関連の講演をされたことがあって、最上町の高橋町長と繋がりがあったんです。
ちょうど移住の予定があった私に「婚活事業をする協力隊になってはどうか?」という提案をしてくださったんですね。

私はもともと自分自身で起業したいという気持ちが強かったので迷ったのですが、町長の熱意や声をかけてくれる議員さんもいて「それじゃあ」っていうことで今に至ります。
それに協力隊なら地域の人々と知り合うチャンスにもなりますし、活動拠点となる場所の提供、勤務時間の融通など、色々と配慮くださったので、活動しやすくなって、町には本当に感謝しています。

例えば、地域おこし協力隊の活動も3年が一区切りですし、将来起業するつもりでいましたので、最初から兼業でやってみることになりました。
私はあくまでもビジネスチャンスとして、ここを選択したつもりなので。

具体的には、「婚活」というとパーティーやイベントを思い浮かべる方が多いと思いますが、私の場合、そういったイベントの企画開催以外にも、まずはそこに参加するための準備として面談を行って、その人自身の魅力や持ち味を引き出してあげたり、奥手や口下手な方でも異性と会話できるようなアドバイスを行っています。
イベントに参加させることが目的ではなく、結婚できるように自分で進んでいける人を育てるサポートですね。

それから、「お母さんのための婚活セミナー」の開催を町と一緒に行っています。
これは、お子さんの結婚について心配している方、お世話をしたいご近所さんなどを対象にしたセミナーです。
こちらに集まった方々から情報をいただいたり、お手伝いしたいお母さんたちに、今どきの婚活や結婚事情を教えたりしています。
家族には言えないけれど、第三者には言える悩みや考えもあったりしますので、安心して相談できる場所を提供していきたいと考えています。
 

Q.移住してから一番大変だったことは?

夫が農業をやるために会社を辞めたのが子どもが3ヶ月の時で、その後、色々準備を進めて実際に移住したのがその4ヶ月後、子どもは7ヶ月でした。
気持ちではすっかり仕事を始めるつもりでいたところに、町の保育園は8ヶ月からでないとあずけられない、しかも、前年度に申込みが必要だったという事態になってしまって、「どうしよう!」って本当にショックでした。

初めての子育てで、私が知らなかったばっかりに。でも結果的には途中入園できたんですが、それまで私が仕事で移動する時は子どもをベビーカーやチャイルドシートに縛り付けていたためか、歩くのもしゃべるのも遅かった気がするし、他の子どもがいる環境にもなかなか馴染めず、そういう我が子がかわいそうで、「私って子育てに向いてないな」と思ったりしました。それが一番大変だったことですね。とはいえ、子どもを理由に自分がやりたいことを諦めるっていうことは考えませんでした。
「できるように進める、言い訳をしない」っていうのが私の信条ですから。


以前、仙台で女性の起業支援の仕事をしていた時に「子どもが…」「夫が…」と言ってなかなか前に進もうとしない方々を相手にしていたので、自分にも子どもが生まれてその方々と同じ立場に立ってみて気持ちはよく分かったんですが、でもやっぱり私は仕事がしたい!本当に私は仕事が好きなんですね。
なので、町に掛け合って、子連れ出勤もOKにしてもらったんです。
幸い、夫は私とは真逆で家事や育児もしてくれますし、家族も私の仕事については理解してくれるので恵まれていますね。


Q.婚活のお仕事で嬉しかったことは?

先日婚活のイベントが終わった後に反省会と称して、参加した男性陣とお酒を飲む機会があったんですね。
みなさん酔っ払っていたからかもしれませんが、「阿部さんだからついていくんだよ」とか「これからもよろしく」と言ってくれて、とても感動しました。

町の関係者からは「早く婚活事業の成果を…」という声も聞こえてきますが、キメ細かいサポートをしているからこそ、成果が出てくるのはこれからで、そうでないと多くの方が幸せな家庭を築いていけるとは思えないので。
そのためにもここで出来る限り頑張っていこうと思います。


Q.有希さんの性格は?

話の節々に出てきますが、私の仕事に対する思考は男性的なんです。とにかく仕事が好きなんですね。
私が用いるジブン診断では7つのタイプに分類できるんですが、その中の典型的「アドバイザータイプ」で、人前に立ってアドバイスするのが大好きという診断通りの性格です。
人の意見を聞いて物事を決めるより、自分の考えを優先したいというタイプです。
でも、今はまだ阿部恵理子先生のもとで修行している身なので、先生の教えをとにかく素直に聞くように心がけています。
 

Q.将来の夢や目標は?

阿部家としては、まずは夫の農業の成功ですね。
私個人としては、仕事で海外と日本を行ったり来たりするのが昔からの夢です。
あちらのものを日本に持ってくるのでもいいし、こちらのものを海外に持っていくのでもいいんですけど、とにかく、海外旅行がしたいっていうのではなくて、あくまでも仕事で海外と接点があるような、そんな将来を思い描いています。
特に、雪深い冬は海外で過ごしたいですね。
 

Q.最上地域の好きなところ 改善してほしいところは?

好きなところは、このはっきりした四季の移り変わりですね。
私も県内出身ですけど、以前、「お盆が過ぎたら冬のことを考えろ」と聞いたことがあって、「まさか?」と思っていたんですね。
でも、ここに来てその意味を実感しています(笑)。

それから、温泉の公衆浴場に頻繁に行ける贅沢さですね。
子どもと一緒に行くと話かけてくれる方々も多くて、昔ながらの裸の付き合いができるところは、本当に素敵なところだと感じます。
マイナスなこだわりを捨てられるのも、この地域の温かさが関係してるんでしょうね。

反対に改善してもらいたいことは、「前例がないことをとにかく認めたがらない」ってことです。
婚活でもそうなんですが、「長男だから家を継がなきゃいけない」とか「同居しなくちゃ」だとか、自分自身の問題でないことにまで無駄にこだわってしまって融通がきかない場合が多いです。
周囲と比べて判断するんじゃなく、また、これまでと比べて決めつけるのでもなく、問題を解決する最善策は何かを一番に考えてほしいですね。
 

最上地域の女性へメッセージ

やりたいことがあれば我慢しなくていいんじゃないでしょうか?できないことを周りのせいにする、言い訳上手な人にはならないでほしいです。
無理な状況でも、そこを可能になるように周囲をきちんと説得する、これも自分の頑張りの一つだと思います。

他人と比べて「あなたはいいわよね〜」とか言う人は、できないで終わる人だし、思い描いた目標を実現する人は、「○○だからできない」と考えるのではなく、「どうしたらできるようになるか」を考えていると思います。
そういう前向きな人は少々のことではつまずきません。
やり方は人それぞれあると思いますが、誰しもが必ずラッキーパターンを持っているように、前向きに進むことで必ず好転していくものだと私は思っていますので。