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専門学校でヘアメイクやネイルを学び、アパレル業界へ就職。 出産を機に、生涯に渡って向き合える仕事は何かを探し始める。

 2008年、ジェルネイルの施術がメインのBSR’s STUDIOを立ち上げ、仲間とともにブライダルディレクションの分野でも活躍中。
 2人の男の子のママとして、育児と仕事を両立する忙しい毎日を送っている。


"私の満足ではなく、お客様の満足が第一だと考えています。たとえ流行のデザインとは違うものを望まれたとしても、まずはお客様の希望
を最優先しますね。
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爪は体調や健康状態によって変わりますし、その方の職業や生活リズム、習慣も関係してきますので、それぞれにあったネイルに仕上げる
よういつも心がけています。
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Q.どんなお仕事をしていますか?この仕事に就いたきっかけは?

BSR’s STUDIOというジェルネイルの施術やブライダルディレクションを行うスタジオを経営しています。
ジェルネイルは、10年ほど前から広まってきたジェルを硬化させることで比較的短時間でできるネイルの種類です。最近では、爪が薄い方や割れやすい方などが保護や補強として施されることもあって、例えば、農家の方や男性、手を酷使される業種の方など透明なネイルを施して爪を守るという方がいらっしゃいます。
また、作業中に爪を割ったりしてしまった場合、完治までの保護としてネイルを施すこともあります。ですから、若い女性のファッションの一部というイメージが強いと思いますが、それだけではなく、もっと広い用途で使われるようになってきているんです。
抗菌タイプのものも出ていますので、看護師さんや介護関係の方にも本当はお勧めしたいところですが、最上地域だと、「ネイル=お洒落」というふうに考えている方が多いので、たとえそれが良いものだとしても、塗っているだけでアウトの場合がまだまだ多いです。
あと、葬儀などの際にネイルは不謹慎と思われることもあるので落としたいという場合もあります。
こちらでは、お客様のご希望はもちろん、それぞれの生活スタイルに一番合うものを提案させていただいています。

ブライダルディレクションの仕事は、たいてい式場ごとにプランナーさんがいらっしゃって、結婚式や披露宴などの大きな軸を決めるんですが、当社はその中で、会場装飾や招待状のデザイン、花嫁様のネイルをはじめとするヘアメイクやコーディネートを主に担当させていただくことになります。
その他にもメモリアルDVDの制作、前撮り、オフショット写真の撮影も行っていまして、私と同世代のスタッフが4名おります。
全員が東京方面でそれぞれ経験を積んでいまして、業務分担して一つの挙式を作り上げていく体制になっています。

高校の頃はアパレルの仕事がしたくて、東京の専門学校でヘアメイクやネイルなど身なりについて一通り学びました。
ショップ店員として働いていましたが「東京で結婚をしても子育てするのは無理だろうなぁ」って感じたんです。働くにはいいけど、子育てする環境じゃないなって。そのまま20代後半まで東京にいたら、その後地元で何かはじめるには遅いような気がして、戻るなら早い方がいいと思ったんです。
戻ってから子供服のショップなどいくつかのお店に勤めましたが、「自分でやれるものはないか」って悶々としていた時期があって、その後妊娠して産休で時間ができた時、「生涯に渡ってできる仕事を持ちたい」と思いました。
ジェルネイルの企業は本社が関西にあることが多いんですが、たまたま、京都にいるいとこがその頃広まってきたジェルネイルの情報を持っていて教えてくれたんです。
私も専門学校でネイルの基礎はやっていたので、ちょっと勉強すればその資格が取れるということと、新庄ではやっているところはほとんどないということで、「これでいこう!」と思って始めました。

Q.一番やりがいを感じることは?

若い頃からネイルの施術で通ってくださっていたお客様が結婚される際に「ブライダルをぜひここにお願いしたい」と言ってくださったり、その後、お子さんを連れてまたネイルに来てくださったり、お客様の人生の特別な場面に立ち会えていると思う時、すごく充実した気持ちになります。
ブライダルは特に一生に一度ですし、新郎新婦から感謝の言葉をいただいた時には本当に感激しますね。
最近は亡くなった親御さんのご遺影とともに挙式をあげられる方がいたり、メモリアルDVDのインタビューでご両親から新郎新婦がお生まれになった時の話を伺ったりすると、親の気持ちと子どもの気持ち、どちらもわかるので、これが独身時代だったら気付けなかったかもしれません。
2児の母になったからこそお客様のご希望にお応えできるようになったように思います。

Q.一番大変だったことは?

仕事と子育ての両立ですね。
子どもが体調を崩したりすると予約の方々に急遽キャンセルをいれなくちゃならなくなるので。
「子どもが小さいから仕方ないよ」と言って応援してくださる方もいらっしゃるんですが、プロとしてはこれじゃいけないなっていう葛藤が未だにあります。
でも、子どものこともおろそかにはできないですし、そういう事情を理解して支えてくださるお客様のおかげで乗り越えてこられましたね。本当に感謝しています。
実家の母や子育てに協力してくれるスタッフの手も借りることがあります。たまにストレス発散も兼ねて女子会にも参加しますが、そんな時も子どもたちを預かってもらったり、周りの方々に支えられてきましたね。

Q.特に気を付けていることは?

私自身がアトピーなこともあって、商品自体もアレルギーフリーで化粧品登録されているものを選んでいますし、お客様が赤ちゃんに触れても大丈夫なもの、水や酸素を通す人体に優しいものにこだわって使用しています。
ただカワイイだけとかお洒落なだけのネイルでは生活できないですからね(笑)。あと、お客様の信頼を得るためには、商品の説明はしっかり行うようにしています。
その他にも、デザインの流行などを学ぶために、東京ビッグサイトで行われるネイルエキスポにも毎年参加して勉強しています。
お客様のご要望にお応えできる技術や感性を常に磨いていく努力をこれからもしていきたいですね。

Q.将来の夢や目標は?

まずは今の仕事を自分なりにしっかりやり遂げたいですね。
自分と同世代の方々が結婚して子どもさんを見せにきてくれる方もいるんですけど、その子たちが将来大きくなって、またこのスタジオに通ってくれるようになったらいいですね。
頑張れば3世代見られるんじゃないかなぁ、そうしたら楽しいですよね。
あとは息子たちを育てあげることが第一ですので、70代頃にはゆっくりできるのかなぁなんて(笑)。それまでがんばります。
 

Q.尊敬している人は?

仕事面では、アバンギャルドリバーブ経営者の笹裕美さんです。
こちらで仕事を始める前に、起業のいろはを丁寧に教えていただき、「自分でやっていけるかも」という自信をつけていただきましたね。本当に感謝しています。

プライベートでは、何といってもやはり自分の母です。
私も親になってしみじみ思うんですが、「母にかなう人はいない」と心から思います。
困ったことがあるとやっぱり未だに甘えたり頼ったりしてしまうのも母ですし、まだまだかないませんね(笑)。
 

Q.地元新庄の好きなところ、嫌いなところは?

良いところは、人のつながりが強いところですね。
祖父母世代からのつながりが受け継がれていて、買い物に行っても必ず知り合いに会いますし(笑)、そういうのを若い時はうっとうしいと思う人もいるかもしれませんが、自分を気にかけてくれる人がいるって、本当はとても贅沢なことですよね。
そのおかげで、子育ての負担も母親にだけ集中しなくてすむし、祖父母や親戚、知人が理解して協力してくれるから成り立っているように思いますね。
あと、自然も多く、その辺で子どもを遊ばせておけるのも良いですよね。人のつながりも自然も、都会では考えられない資源だと思います。
逆に改善しなくてはいけないのは、地域の活性化と若い世代の仕事の問題ですね。
息子たちのためにも、私たち世代が頑張らなければいけないなと思います。
あと、私たちがそういうことが問題だと思っていることが、行政や議会など地域の方向性を決めていく場所まで届きにくいとも感じますね。
若者や子育て世代の声が届くまちづくりが進むといいなぁと思います。
 

最上地域の女性へメッセージ

「この地域だからできない」と思ってあきらめないでほしいと思います。
私にだってここまでできたんだから、誰にだってできます。
やりたいことがあれば、まずやってみることからですね。きっとできるはずです。何か思うことがあれば、一歩を踏み出して。

※取材時は新庄市を拠点に、現在は東根市を拠点に活躍されています。