株式会社 三幸の代表取締役として、現在社長業4年目。
短大を卒業後、いくつかの企業で働いたものの、実父の仕事がきっかけで、未経験だった生コン製造会社の後継予定者として36歳で転職することに。
全く知識のなかった男社会の業種に飛び込む決断をした明るくポジティブな女性経営者。


"生コンクリート業界はいわゆる男社会で、女性が少ないことから、みなさんに顔を覚えていただけるという好都合もあるんですが、男性の多い業界へ女性が入った時、「本当に大丈夫なのかな?」って、不安に思われるのは当然のことです。
だから、この業界に足を踏み入れた頃は、まず基本知識を身につけようと、勉強して資格取得に励みました。"

"自ら深めた知識は実務で役立つことはもちろんのこと、名刺交換の場では「○○の資格をお持ちなのですね」と気付いていただけたり、会話にもっと花を咲かせることができるんです。"


Q.どんなお仕事をしていますか?この仕事に就いたきっかけは?

庄内町で生コンクリート製造の会社を経営しています。
経営と言っても、社長業はまだ4年目で、知識的なことは社員のほうが詳しいくらいです。
私は生コンの知識や資格もなく、全くの素人で入社しているので、「立米=?」の単位も知らなかったくらいです(笑)。

当社はもともと後継者不在の事業所で、銀行員だった私の父が、お付き合いさせていただいていた会社なんです。
父が創業者の方の依頼を受けて経営を引き継ぐことになり、帳簿や決算書の数字は読み解きますが、現場の技術的な理解が難しいということもあり、それで私は36歳で後継予定者という立ち位置で入社することになりました。

ちょうど私自身がバツイチになって身軽だったこともあって(笑)、いずれ経営者になることへの躊躇いはそんなになかったんですよ。
その時点で不安要素はあまり考えていなくて、大変だろうということさえ分からなかったんだと思います(笑)。
何もわからない社長の娘が経営だなんて、社員や取引先はさぞかし不安だったでしょう。
私自身は短大卒業後にいくつかの企業で経理、営業、秘書業務を経験していまして、たいていのことは身をもって体験してきたと思っているんですけど、当時、マネジメントは未経験だったので、逆に「やったことないけど、よし、やってみよう!」って、前向きにチャレンジしようと思って飛び込みました。
 

Q.やりがいを感じる時は?

自分が思い描く方向へ全ての調和がとれて物事が思った通りに着地した時ですね。報われたなぁと思います。
もともと、歓迎されていない状況でそこに入っていってるので、たしかに、ムムッと思う言葉を耳にする場面もありますが、そこは「美容に良くないわ!」と軽く受け流します(笑)。
私も36歳までは他分野ですが仕事をしてきて、職場の雰囲気づくりはわかっているつもりなので。
どうすると利益を上げられるかっていうことを考えれば、キャリアを積んでいる人のほうが実際に仕事はできますし、その方々を中心に現場を回していくほうが、よっぽど簡単です、きっと私じゃなくてもできますよ(笑)。
社員とは、色々なピンチをお互いにフォローし合いながら乗り越えてきて、徐々に信頼関係を築くことができたと思っています。


Q.一番大変だったことは?

毎日の業務に関しては盛りだくさん過ぎて、どれが苦労かわからないです(笑)。
それだけ色々なことがありましたね。でも一番大変だったと今になって思うことは、4年前に父が肺がんで余命6ヶ月の診断を受けた時ですね。
私は自分が思っていたのよりもかなり早く社長になることになりましたから、仕事の面でも大変だったんですが、本人には告知しなかったので、分からないように気を使いながら、動揺して精神的に不安定になっている母のケアや病院とのやりとり、まだ8ヶ月だった子どもの世話、全てが一気に押し寄せてきましたね。
「笑門来福」を人生のモットーにしている私ですが、あの時ばかりはさすがに笑えなかったです。

父が亡くなって、私は42歳で社長に就任して、たくさんのピンチはありましたけど、今思えば、あの忘れられない6ヶ月を乗り越えることができたんだから、多少のことは大変だなんて思わなくなっちゃったのかもしれません。
「あの時だって何とかなったんだから…」って思えば、怖いものは無いんじゃないかな?
強いて言えば、毎年の品質監査やJIS規格対応に向けた勉強と業務の両立に、自分の記憶力・体力・免疫力の低下を阻止すること、これが苦労かもしれませんね(笑)。


Q.美佳さんの生活スタイルは?

基本的に午前9時前には会社に到着、午後4時半に退社しています。45分の車通勤はそんなに負担ではないです。
考え事や気持ちのリセットの良い時間にもなっていて、車の中で家庭の顔と仕事の顔を切り替えるようにしています。

息子の朝夕の送迎は夫と綿密に予定をすり合わせて、できるほうが行うようにしています。
現在4歳になる息子は生後6ヶ月から私立保育園、市立保育所、私立幼稚園にお世話になっています。

夫や夫の両親、行政サービスも含め、使えるものは全部使って子育てのやりくりをしてきました。
子どもが熱を出した時にすぐに駆けつけてあげられず、自己嫌悪で泣きながら車を運転したこともありました(号泣)。
世の中のお母さんたちはみんな綱渡りみたいなところがありますもんね。子どもの体調ひとつで全ての予定が変更になるんだから。
夫の協力なくしては仕事はもちろん子育ても成り立ちません。

うちの息子は大のパパ好きで、何をするにもパパを指名するので、その合い間に家事ができてしまうので助かります。
こういうふうになると、本当に楽ですよ(笑)。


Q.リラックス方法は?

親子3人、戸沢村のぽんぽ館の大ファンなんです。
休日はプールと薬湯を満喫して、カツ丼を食べて帰ってくるのが定番になっています。
出産してから全てにおいて子ども中心の生活に一転しましたが、中年真っ最中の私と10歳年上の夫は、本当に子どもがかわいくて、心から子育てを楽しんでいるんです。

あと、最近は全然行けてないんですが、ゴスペルをしています。
元々新庄に来る前からやっていて、こちらでもできないかと思って探したら、ゴスペルグループがあったので参加するようになりました。

ストレス解消法というのか、自分の気持ちのリセット方法としては、嫌なことがあった時は「イライラしていてもブスになる!」と自分に言い聞かせること。
できるだけマイナスの情報は忘れるようにしていますね。
それでもどうしても忘れられない時は、紙に自分のモヤモヤした気持ちを書いて、最後にビリビリ〜と紙を破いて浄化します(笑)。これオススメですよ。


Q.最上地域の好きなところ 改善してほしいところは?

最上地域のマイナス点として「雪」を挙げる方も多いんですけど、除雪が上手いので通勤も全くネックにはなりません、楽勝ですよ(笑)。
それにその雪のおかげで、きのことか山菜とか川魚とか、本当においしい食べ物が育つんだと思いますね。

あと、街がすごくコンパクトで生活もしやすいんじゃないかなぁ。海まで行かなくても、すぐ近くの川で泳げますしね。
真夏でも川辺は涼しい、魚もいる、水や周りの濃い緑が眩しいほどきれい。
それに混んでいないって最高!フェイスブックに写真を載せると、都会の友人からは「おしゃれな生活だね」って言われますよ(笑)。

あと、とてもおもてなし上手だと思いますね。
古くから交通の要衝だったからでしょうか?どこに行ってもたくさんのお料理で歓迎してもらって、たまに、あまりに大量なので困っちゃう時もあるんですが(笑)。

改善していただきたいのは、国道47号線が事故や自然災害で通行止めになる時があるので、新庄酒田高規格道路の全線開通を一日も早く実現してほしいですね。
きっと観光や流通にも大きく寄与すると思いますし。
 

最上地域の女性へメッセージ

私は職場も出身も庄内なので最上の女性と接することは少ないんですが、夫の両親や子どもの幼稚園の先生方など、どの年代の女性も、明るく優しく責任感が強いという印象を持ちます。
芯が強くて面倒見の良い、情の深い女性が多いですよね。
でも、いざという時に、自分の意見を言うのが苦手な方も少なくないようですね。

会議や集会など、みんなが発言して良い場所では尻込みせずどんどん前に出てみましょう!
最上の女性の良さを生かして、心身共に健やかに、しなやかに、そして美しく、ここ素晴らしい最上の地で、ともに暮らしていきましょう。